解説 - チタンの特性とその扱いについて

成形加工 焼鈍されたチタンの成形加工はステンレス鋼と同様に比較的簡単なのですが、工具とカジリを起こしやすいので成形速度を遅くして、潤滑剤、ビニール被膜を使用してください。成形性はSUS304とSUS430の中間程度です。加工が困難な場合は、500~600℃の温間での加工が良く、チタン材料は冷却が早いため、500℃以上で成形する場合には、工具も加熱する必要があります。
切削加工 チタンの切削加工はSUS304とほぼ同様に、旋削、平削り、ねじ切り、孔あけ、フライス加工、鋸引等、いずれも可能です。切削速度は遅く、送りはやや粗くしてください。切削剤は、刃先温度の上昇を防ぐために、冷却を主に考えてください。切削熱が上がると焼付けなどを起しやすいので、工具の交換は早めに行ってください。
溶接 チタンは非常に活性な金属です。溶接時には、完全シールドはもちろんの事、溶接材料、作業環境も十分清浄化する必要があります。これらの点を怠りますと、不純物と結合して化合物を作り、溶接部の延性を低下させるとともに、同時にブローホールの発生原因や耐食性を劣化させる原因になります。
熱処理 チタンを600℃に加熱する場合には、真空中、あるいは不活性ガス雰囲気を使用します。また、大気加熱した場合は、脱スケールを行います。 *応力除去焼き鈍し 480~590℃ 1/4~4時間 *焼き鈍し 650~760℃ 1/10~8時間 一般に温度が高い場合には時間を短くします。棒、鍛造品の場
表面処理 チタンの硬度は普通100~130HBですが、表面を窒化したり、炭化することによってその硬度を飛躍的に向上させることができます。またチタンの表面は、自然に生成した酸化被膜で覆われていますが、陽極酸化法等により、この被膜の厚さを変え、あらゆる色を発色させることが出来ます。
脱スケール 大気中で加熱(700℃以上)した場合のスケールは、硝酸+フッ化水素酸の混酸液だけでは除去することは困難です。この様に発生した厚いスケールの除去はショットブラストのような機械的な方法或いはアルカリ処理法(苛性ソーダ60%、硝酸ナトリウム30%、塩化ナトリウム10%の溶融塩、450~520℃で約10分浸漬)により脱スケールを行い、15%硝酸+2%フッ化水素酸の混酸中で酸洗しますと、梨地肌に仕上がります。成形加工後の歪取焼鈍を行う場合、大気中で600℃以下の加熱ですので、酸化スケール層は薄く、15%硝酸+2%フ
プレス加工 チタンでプレス成形を行う場合は、比較的成形性に優れ、軟鋼やSUS304とほぼ同等の最も軟らかい1種相当の材質を用いる事を推奨します。
曲げ加工 チタンの曲げ、絞りなどの成形加工は、比較的容易です。板の曲げ加工に際しては普通、内側半径は板厚の2倍、以上、JIS3種材では、板厚の3倍以上まで曲げられます。成形性は、SUS304とSUS430のほぼ中間ですが、チタンはスプリングバックが大きく、工具とのカジリを起こしやすいので、成形速度を小さくしたり、潤滑剤やビニール被膜を使用して加工します。

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